5/04/2007

USCPAの進む道 その1

USCPA試験合格者には様々な進むべき道が考えられます。試験合格までに積み重ねてきた経験にもよりますが、USCPAを活かしたキャリアの構築には以下のような選択肢が考えられます。

① BIG4会計事務所の国際部で監査経験を積む。
数年前までの国内大手監査法人でのUSCPA試験合格者のニーズはそれほどでもなかったようです。しかし、エンロン事件により2002年米国でSarbanes Oxley Act of 2002(いわゆる企業改革法=SO法)が制定され、その404条に基づく内部統制監査が義務づけられると、その余波が徐々に日本及んできました。特にカネボウ事件や西武鉄道の有価証券報告書の虚偽表示が起こると日本にも米国のSO法に相当するものをつくるべきだとの声が高まりました。そして実際に日本版SO法に基づく内部統制監査が2008年の3月期から義務づけられました。監査の負担が増え、慢性的なマンパワー不足に悩む国内大手監査法人はUSCPAに食指を伸ばし始めました。今まさにそのピークが来ているといっていいでしょう。日本の公認会計士試験合格者で人材不足を解消した一部の大手監査法人を除き、その兆候は明らかです。

②国内BIG4税理士法人で移転価格アドバイザリーに取り組む。
これについては詳しくないのですが、移転価格税務(Transfer Tax Pricing)ではUSCPA合格といったステータスを活かすよりも、ゼロからその専門分野でキャリアを構築していくといった感じだと思います。実際のところ大手税理士法人はUSCPA合格者の募集を行っています。英語が得意で海外事務所とのコミュニケーションをいとわず、問題解決に真摯に取り組むことができる人に向いていそうです。

③ コンサルティング会社で内部統制アドバイザリー業務に取り組む。
これは①の監査法人でもできない業務ではないのですが、SO法の404条等のリスクマネジメントに特化したコンサルティング会社でキャリアを構築することも考えられます。その分野に特化したコンサルティングを行っているため、米国のSO法対応の経験が会社内部に蓄積され、リソースを最大限に活用できるのが特長です。旧Arthur Andersenのリスクマネジメント部門のProtivitiなどがその代表格でしょう。

④外資系企業でAccountingやInternal Auditの経験を積む。
資格合格者というステータスを活かしてFinancial Controlや、USGAAP(Generally Accepted Accounting Principal)または国際財務報告基準に基づくReportingを外資系企業で担当することもキャリアの選択肢としてあると思います。ただ、注意すべきなのは経理経験がないと厳しいのではないかなというのが僕の思うところです。Internal Auditを志望するのであれば監査法人での監査経験が必須なのではないでしょうか。それらの経験がないと、ただ単にUSCPAに合格しただけではなかなか採用担当者は関心を示さないでしょう。

僕は上記4つに限らずUSCPA合格者には十人十色のキャリア構築があると思います。日本の公認会計士がカバーできない領域に特化して専門性を磨けば限りなく大きな可能性に挑戦できるのがUSCPAだと思います。

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